CHINA-EUROPE Rail Service

中欧班列

中欧班列

2011年から始まった同サービスは2015年ころから倍々ゲームで物量が増加して2015年で815列車(W/B, E/B合計)、2016年に1,702列車、2017年に3,673列車、2018年には6,300列車と目覚しい増加を見せています。
ルートは満州里経由の北ルート、二連浩特モンゴル経由ルート、阿拉山口カザフスタン経由の西ルートと3つありますが、重慶、成都発がメインのカザフスタンルートが7割近くの物量を占めています。中国のスタート駅から欧州のメインターミナル(DUISBURG, HAMBURG, WARSZAWAなど)まで20日を切るスピードとなっていますが最も扱いが多いのは内陸奥深い成都発着で2018年に1,587列車、2番も内陸の重慶で1,000列車を越えています。この2駅発着だけで全体の4割以上を占めており、通常の輸送ルートが中国沿岸部経由欧州航路となると内陸奥深い出発地がもっとも距離短縮のスピード+コストメリットが発揮できるためであると考えられます。
すでに中国国内数十の出発駅からサービスがありますが、これを日本、韓国から接続して利用しようとするアイディアは残念ながらあまり成功していません。弊社にも数多くのお問合せを頂き、弊社ではTRANSIT貨物を受託可能で運賃が安い厦門経由をメインにご提案させていただいていますが、中国発の持つメリットに近い内容に仕上げるのは困難と理解しています。やはり日本から欧州まで25日以内、運賃5,000ドル(40’)以下をターゲットにサービスを開発していますが、日中の海上輸送、出発駅までの接続で10日近く掛かるケースがほとんどで30日を切るのがやっと、運賃も5,000ドル〔40’〕には少し届かないレベルだと思います。
厦門経由の主要港から欧州までのタイムスケジュールは下記の内容です。

韓国でも状況は同じで中国経由でメリットは見出せないのが現状で、韓国ではもともとあったロシア極東港からの欧州向け鉄道輸送に向けて準備が始まっているところです。
ロシア経由ルートは未だ準備途上の段階でロシア極東港からPOLAND国境までの直通列車の定時運行に至らない状況ですが、モスクワまでのBLOCK TRAINの定時運行を利用してその先をトラックで接続するサービスはすでに始まっています。中国鉄道とロシア鉄道の受託条件などに色々な差があることからロシア経由が有利なケースもあります。下記にその特徴をまとめてみましたので、使い分けてロシア鉄道ルートを使う選択肢もあることが分かると思います。

ルートモード20' の受託危険品の受託地方港積の受託対象仕向地
中国ルート欧州主要ターミナルまで鉄道 + トラックでドアまで不可不可基本的に不可主要ターミナル(ドイツ、ポーランド)周辺
ロシアルートモスクワまで鉄道+トラックで欧州仕向地ドアまで可能可能可能ポーランドまたはCIS国境寄り

中国経由がスピード、価格とも安定はしていますが、上記の比較の通り、20'コンテナ、危険品、地方港積、ポーランド向けのいくつかの要素が重なる場合は現状でもロシア経由で検討する価値はあると思われます。

中欧班列は日本発着には現状あまり大きなインパクトはないと思いつつもこのサービスで開発された保冷輸送のノウハウには大いに関心を持っています。欧州からの復路の貨物には飲料、食品が多いことから復路の貨物を増やすために保冷輸送の整備は不可欠だったと思います。現在GENSETをコンテナに付けて輸送する方法は今までのロシアCISには無かった形態でこのシステムが今後のロシアCIS内での鉄道輸送に広く利用されることを期待しています。